Panasonic NV-FS900の修理

H/Oでジャンク入手した名機の修理。Part2



宇都宮のH/Oで見つけたFS900。ジャンクとして\2000で売っていたので思わず捕獲してしまいました。やっぱFS900はカッコイイ!!
早速チェックしてみたところ、症状は
@VHSは正常に出画するがSVHSは真っ黒。
Aカセコンの動作が思わしくなく、正常にローディングされないときあり
Bカセット排出が勢いありすぎで吹っ飛んでく
Cドラムから異音あり(同時に画像が揺れる)
というものでした。


また、今回はシビアなスイッチング電源の電解コンデンサ交換についても紹介していきます。



@の対策


蓋を開けると、カセコン上部にこんなシールが貼ってありました。
おおっ!例のイヤな思い出のHICも交換されてるぞ!!
しかし、S-VHS側のHICは凄いことになってます。
電解液は、スルーホールを通って裏側にまで害を及ぼしていました。
この汚れがなかなか落ちなくて、かなり苦労した・・・
そして同容量の電解コンデンサをとりつけて完了。
と思いきや、依然S-VHSが出ない!!
基板をよぉく見ると、2カ所に故意にパターンを断線させた痕跡があるため、「なんでだろ?」と思いつつも・・・
こんな感じで結線してみました。
ところが、これだとVHSでさえ画像乱れまくり!!
(後で、この断線ははパッチ当てのために製造段階で行われたものと判明)

S-VHSに限って出画されないとこから、やはりさっきのHICがアヤシイ
ってことで、パターン断線をテスターでチェックすると、8番ピンからTrに入るところのパターンが断線しているようで(見た目では分からない)、結線したところ、S-VHSも正常に出画されました(ヨカッター)。

写真撮り忘れ!
あと、もう1個のHICのコンデンサも張り替えておきました。



ABの対策


これはカセコンの位相が微妙にずれており、ギアを1・2山ほどずらしたら直りました(写真なくてごめんなさい)。



Cの対策

シリンダ上部のネジ3本を外し、シリンダ中央にCRCを少量注入して完了です。


注:SW電源について

長くなるので別にしました。
ヤフオクで入手したFS900は、SW電源を新品のケミコン(日本ケミコン製KMG)にすべて取り替えたところ、メカ暴走後にスイッチング素子(STR-D6004X)破壊でご臨終となりました。
FS900のSW電源はコンデンサにシビアであることで有名で、2次側の平滑コンには低インピーダンス品を使わなければ、マトモに動作することは少ないようです。
もちろん一般的にSW電源の平滑には高周波平滑用低インピーダンス品を使わなければ、リプル耐性の低下でコンデンサ自体の寿命が極端に短くなったり、SW電源自体の能力低下や、その他の部品に過度の負担を掛けることにもなります

ちなみにこのSW電源は、電源切でもかなりの発熱があり、1次側/2次側のコンデンサ共にかなりの温度になっていました。他の部品からの熱がパターンを通して伝わっているのか、高リプルでコンデンサ自体が発熱しているのかは分かりませんが、この状態ならば老化が進んでもおかしくないと思いました。

今回は、ここのコンデンサ交換及び放熱対策について別記事にしました。



修理完了

このほかにも、映像基板にハンダクラックが多数あったので、盛り直して完動となりました。

電源LEDの赤色がちょっと好みではないので、緑にしてみました。

このビシッと決まった画は、メカの安定性の象徴といえるでしょう。ほとんど補正されていない素直な色合いで、今時の化粧で誤魔化しているヒョロヒョロデッキとは訳が違います。再生だけでなく録画に使っても、非常に安定した映像で録れます。
音に関しては若干ドンシャリ系に思えますが、無理に持ち上げたような汚い音では全くないので、これはこれで良いと思います。ビデオデッキにクラスAA回路を搭載してしまうことにも、頭が下がります。



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