電解コンデンサの製造元簡易判別法

頭でおおよその製造メーカが分かります。



電解コンデンサの頭部には、製造メーカによって様々なライン(線)が刻印されています。電子機器の寿命・耐久性は電解コンデンサの性能に左右される、と言っても過言ではなく、非常に重要なことです。
ここでは、メーカによって違う電解コンデンサ頭部の印(通称「安全弁」)の一部を挙げて、同時に独断による各社のランク付けを行います。そこで少しでも役立ててもらえればと思います。

パソコン雑誌では、マザーボードの写真を真上から撮るために使われているコンデンサメーカの判断ができない場合が多いですが、この判別方法を用いれば、比較的簡単に見分けることができます。日本ケミコンや松下製のコンデンサを採用し、フェーズ数が3つ以上あるのを見つければ、安定性やオーバークロック耐性だけでなく、寿命も他のと比べて長くなります。フェーズ数については、たるさんのパソコンフィールドが参考になります。

※2005/11/19 若干訂正&一部メーカにおいてコンデンサの製造時期表記を追記。
コンデンサの購入時や電子機器の製造時期判別に多少役立つかもしれません。
ただし日本ケミコン以外は表記情報の確認が取れていませんので、ご了承ください。


以下では、写真による頭部刻印式判別法(勝手に名付けただけ^^;)を紹介しますが、順序として、私の独断で信頼性の高い順に紹介していきます。もし意見があればお待ちしております。


1:日本ケミコン株式会社

私が現在、一番信頼を置いているメーカです。
一般家電はもちろん、高級オーディオ機器から業務用機器にも多く使われているメーカです。
事実、このメーカのコンデンサは性能・信頼性の高さで定評があります。

メーカーロゴ:
使いづらそうな鍋(笑)みたいな形の中に「NIPPON CHEMI-CON」という文字が入ります。これは基板自立型以上の場合のみで、ラジアルリード形の場合は右のように鍋マークだけで文字は入りません。
マイナス極を表すゼロ印は、丸みの帯びた細長い「0」となります。

頭部刻印:
Y字型ですが、「Y」その物の形ではなく中心から放射状に120度おきに均等に線が3本でているものです。
パソコン用マザーボードで、ごく一部ですが頭がY字でも日ケミでない場合もありますので注意して下さい。(Y字の中心付近にそれぞれ3つの点がついているのはTEAPO製(海外粗悪品)

製造時期表記:
括弧で括られている文字の左側の文字が製造年の西暦下一桁を表します。
右図で4(2)となっているKMGは2004年製造。
しかし、b(Q)のようにアルファベットで表記するものもあり、これについては不明。
以下未確認:確か、日本ケミコンでは同じグレードを10年以上製造することは無いので、例えばKMGは1994年に製造していないハズ。

日本ケミコン製電解の生産国判別法?もよかったらご覧ください。
4(2)
b(Q)
※2位は2メーカーあります。私の経験ではこの2つのメーカは大体同じくらいだと思っています。
2:松下電器産業株式会社

一般家電によく使われます。

メーカロゴ:
古いタイプ(10年以上前)だと△の角に更に△が付いた三松葉形で、それ以降は正方形の中にMのマークが入ります。
マイナス極を表すゼロ印は縦型長方形。

頭部刻印:
ラジアルリード形では写真右のように「T」に似た形です。Tの上の棒がわん曲しています。
基板自立形になると写真左のようにTの真ん中の棒が突き出たような形になります。

パソコン用マザーボードにも使われますが、その場合は本体の色は黒でプリントは銀色か金色です。これらは低インピーダンス品で、形は写真右に良く似ます。松下の低インピーダンス品の場合、縦に伸びることが多く、横に広がるのは少なかったかと思います。
2:ニチコン株式会社

一般家電によく使われます。オーディオ用も豊富。

メーカロゴ:
「nichikon」。
マイナス極を表すゼロ印は「0」(←ほとんどこの形)。

頭部刻印:
「×」です。
しかし、海外コンデンサメーカで×印を付けるのは多く、マザーボードでは非常に紛らわしい。

製造時期表記:
アルファベットに続く4桁の数字が製造年と製造週を示すようです。
上2桁が製造年(西暦下2桁)、下2桁が製造週。
(右図だと1993年16週製造のもよう)
3:エルナー株式会社

一般家電によく使われます。オーディオ用のラインアップも豊富で、音質的に好みです。

メーカロゴ:
「ELNA」
マイナス極を表すゼロ印は縦型長方形。

頭部刻印:
「-」に「)」が付いた形です。

製造時期表記:
4桁の数字が製造年と製造週を示すようです。
上2桁が製造年(西暦下2桁)、下2桁が製造週。
(右図だと2000年22週製造のもよう)

一昔前(ちょうどバブル期)の物では、液漏れをしている場合が多いです。これはRSG(Longlife)でよく見かけ、4級塩系電解液の使用によるものです。
現在の耐久性は並だと思います。
4位飛ばし
5:ルビコン株式会社

一般家電によく使われます。

メーカーロゴ:
「Rubycon」
マイナス極を表すゼロ印は縦型長方形。

頭部刻印:
K字型(正確には写真のように「l」に「<」です。マザーボードでは↓にある三洋電子と間違えやすいので注意)。

製造時期表記:
アルファベットに続く4桁の数字が製造年と製造週を示すようです。
上2桁が製造年(西暦下2桁)、下2桁が製造週。
(右図だと2002年7周製造のもよう)

80年代後半〜90年代前半にかけて、このメーカのコンデンサは、激しい液漏れを起こすロットが出てしまい、一部のメーカでは対策キットまで出たそうです。実際、私もこのメーカのコンデンサには何度と無く悩まされています。
一般に、このような液漏れの原因は4級塩系電解液の使用によるものですので低Z品に見られるはずです。が、私はYK(85度標準品)の常温環境下での液漏れも確認しています。

ここのは、他のメーカのと比べて品質が悪いような気がします。現在でも作りの安っぽい物(基板実装上での、雑なプリント文字や傷の付いた本体)を見かけるため、購入は避けています。単価も他のメーカより安いようです。
マザーボードにもよく使われますが、経験上あまりお勧めできません。これは液漏れ云々ではなく、寿命という観点からです。
5:マルコン電子株式会社

日本ケミコンの子会社?
昔、東芝が好んでこのメーカのコンデンサを使っていた。

メーカーロゴ:
楕円中に「Marcon」
マイナス極を表すゼロ印は横型長方形。

頭部刻印:
「V」です。

このメーカのはドライアップの経験があり、作りは雑とまではいかないものの、あまり良いとは言えない。
※三洋電子のコンデンサは、一般家電ではあまり使われないために順位は付けませんでした。しかし信頼性は高く、OSコンやほかの低インピーダンス品で、主にマザーボードなどで良く見かけます。

三洋電子部品株式会社

メーカーロゴ:
「SANYO」
マイナス極を表すゼロ印は縦棒線。

頭部刻印:
右のようになりますが、その他にK字型があります。ルビコンと違って「K」その物の形です。ルビコンと間違えやすいですがよく見ると直ぐ分かります。また、三洋電子が出しているアルミ電解は本体色が大抵緑色です。
さらに、全く同じ頭部刻印「K」でも富士通メディアデバイス製の物があります。これは本体の色が黄色であり、機能性高分子キャパシタと呼ばれる低Z品です。主にサーバー向けM/Bなどで見かけます。



以下、海外メーカー品
基本的に海外メーカ品は性能・品質・信頼性の点で難があり、
以下のメーカのコンデンサが搭載された製品を購入することは避けるべきです。


D-paston

マザーボードで良く見かける。
頭部の印は確認しているだけで2種類ある。
プリント文字がゴールドなので高級そうですがよく見ると雑で、信頼性は低い。すぐドライアップしそう。
左側の安全弁の形状は、HERMEIというメーカのつくる地雷コンデンサでも採用されています。
Yeong Long Electronic Co Ltd [YEC]

ACER製マザーボードで良く見かける。
頭部の印は「×」。
105℃と書いてあるが物凄くアヤシイ。

・シャキーン事例
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/7115/index.htm
LUXON Electoronics [G・LUXON]

マザーボード・ビデオカード・安物SW電源・光学ドライブなどのPC関連パーツでよく見かける。
このメーカについては、もう何も言うことはないでしょう。
短時間で頭が破裂し、茶色の液体が出ます。
また、実際手に取ってみるとその軽さに驚いてしまいます。

TEAPO

G.LUXON同様、マザーボード・ビデオカード・安物SW電源などのPC関連パーツでよく見かける。
頭部刻印が日本ケミコンと似ているので注意。
品質は言うまでもなく・・・です。


Lelon

マザーボード・安物sw電源などのPC関連パーツでよく見かける。
今時こんなダサいロゴ使ってるなんて、台湾らしくないですなぁ〜(爆)



Taiwan Capacitor Ltd [TAICON]

マザーボード・安物sw電源などのPC関連パーツでよく見かける。

しかもこいつ、ほとんど(全く?)使われていない電源から取ったのだけれど、ご覧のように陰極からは化学物質が出ております。

ナント!ニチコンが出資してます。

Rulycon ?

頭はなんとルビコンと同じK字です。
画像はFOXさんご提供。
L&CのLC-300ATXというATX電源の2次側平滑に使用されており、中古入手後1500時間以上使用し、破損。
それにしてもこのメーカ、一体何なんでしょう。ルビコン株式会社とも関連性が無いようですし。
メーカーロゴも頭部刻印もルビコンまるパクリだしなぁ・・・
モコーリ写真を見ると分かるように、写真裏側の耐温度・グレード(?)表記は、下のJEEと酷似しています。もしかして....
Well Jieh Electronic [JEE]

画像はFOXさんご提供。これも同じ電源の1次側平滑に使用されていたもの。頭部モコーリに加え液漏れ。
このメーカのは、海外製ATX電源の1次側に使われることが多い。


RulyconとJEEのモコーリ写真はこちら
Luminous Town Electric [Ltec]

もうね、あっちの国はパクリも糞も関係ないみたい。
どっちがパクったのかは不明ですが。
ちなみに頭は×印です。
KDC? KDI? Vent?

もうなんだか分かりません。02年10月製造中国製安物DVDプレーヤの電源に使われてました。
ご覧のようにスリーブは後退し、封口ゴムが飛び出て液漏れしてます。安全弁の意味全くなし。
このほかにも、マザーボードでよく見かける海外メーカ品としては、OSTORGSCJACKCONなどがあります。これらが搭載されたマザーボードの購入は避けるべきです。

以上のメーカで、不良ロットによるM/B不良は有名な話です。
http://www.niccomp.com/taiwanlowesr.htm
全体的に海外コンデンサの頭は×印です。


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