Victor XL-Z311高音質化改造

普及機CDプレーヤを改造して高音質化を図ります。




H/Oで「トレイ出ない」\1kにて入手したCDプレーヤ。トレーが出ないのは単なるゴムベルトの老化で、交換したところ問題なく動作。 肝心の音なんですが、「若者好みの音」という感じです。高域はキラキラ・ギスギスしており、ボーカルはやや控えめ。低域は硬く、とても1時間や2時間聴ける音ではありません。

ところで、このモデルの系列としては他に211や511、711などがあるようで、数字が大きいほど定価が高くなるようです。511は定価\59800という話を聞いたことがあるので、311は\39800とか、その辺だと思います。
普及機にもかかわらず、デジタル出力は光&同軸搭載で、アナログ出力も可変・固定の2系統。可変にいたっては、モータードライブのボリュームでリモコンからの操作もできるみたいです。また、CDのタイトルが登録でき、プログラム再生も凝っています。カセットテープへのダビングを意識した機能が豊富です。
筐体底面には振動対策と思われる凹凸があり、ネジも銅メッキされてます。値段にしては結構頑張っている方だと思います。
今回は、電源部の改造を主に高音質化を目指します。


調査

まずフタを開けて見えるトランス。全ての電源をこれ1個で賄っていますが、容量的にちょっと心配です(容量値は記されていませんが、本体の消費電力は15wとありました)。
DACはPCM56PのLランク。外部でMSB調整されています。しかもI/V変換に至ってはNJM5532Dで行われてます。
デジタルフィルタはNPCのSM5807EP。詳細が分からないのですが、4倍ぐらいでしょうか?
LPFはM5218を使った2次のアクティブ型で、その後トランジスタのミュート回路を通して出力されます。

しかしここで問題なのは電源です。DACとLPF・I/V変換・サーボ系その他の電源は全て共通になっています。これは写真上部の2つの大きな電解コンデンサ(25v4700uF*2)で平滑されたのち定電圧回路を通り、12Vが各回路に供給されてます。


改造

DAC部の電源を独立させるために、今までの供給をカットします。矢印の抵抗は、12Vをデカップリングして7V付近に降圧するためのもの。正電源側と負電源側とで抵抗値が異なります。LPF・I/V変換部の電源も独立させます。
DACとOPアンプの電源バイパスとして、25V22uF OSコンを追加します。Qc-Passの店頭で貰ったノートPCの電源部から抜き取った物なのでタダです。軽く下処理をしてから使っています。

音声ミュートはリレー式に変更。高級機では当たり前ですね。
DACの電源バイパスには、10V220uF MUSEコンデンサも使います。これは安く入手できたから使っているだけで、ここら辺は標準品のコンデンサでも音質変化はそれほど無いと思います。
LPFのOPアンプはソケット型にしてNJM5532DDに変更。出力カップリングはMUSEに変更。
ちなみに、元はここだけELNA製の標準品が使われていました。他は全て松下の標準品ですが・・・
やはり聞き比べて設定したのでしょうか?
MUSEに交換して行き先を失ったコンデンサも、電源のバイパスとして使います。
新たに投入する電源回路。I/V変換・LPF専用に正負12V、DAC専用に正負5VをレギュレータICで生成します。
整流はショットキーダイオードで。平滑にはgenpin.comで\110/個で購入したESシリーズに使われそうなSONYロゴが入ったENLAの35V4200uFを使用。
12V出力側にはnichiconのPF(低インピーダンス) 16V2700uF、5V出力側には日本ケミコンのKZE(超低インピーダンス) 10V 1200uFをそれぞれ使用。

低インピーダンス化しすぎるとレギュレータが発振する可能性があり危険なのですが、とりあえず今のところは大丈夫なようです(^^;
裏側。基板を再利用しているので汚いです。
アルミ板をL字型に切って、このように取り付けました。
ちと平滑コンが出過ぎだな(笑
トランスは、部品取りジャンク\100で入手したNV-FS900から取り出しました。整流後の電圧は正負22V出ており、5Vレギュレータにとってはやや厳しいいようで、結構な発熱になります。

穴開けのさいに寸法を間違えて空けてしまい、またやり直すの面倒なのでスペーサーを噛まして取り付けました(爆)
トランスの場所的にも高速化事業部様の改造記事と似ていますが、やはり音質トランスは外部に出さないと面白くないような気がします。
デジタル回路の5Vラインの低インピーダンス化として、日本ケミコンのKZE(超低インピーダンス) 10V680uFを2個追加しました。
ということで、改造後はこんな感じになりました。
また、電源に余裕を持たせるためにヘッドホンアンプと可変出力モーター回路への電源供給は切りました。


さて結果は?


まずLPF部のOPアンプをデフォルトのM5218にして聴いてみました。
第一印象としては、低域に力が入るようになりました。底力が凄く、下から突き上げるような低音が勢いよく出ています。
高域は以前と比べて落ち着いた感じになり、荒々しさが抜けて安定するようになりました。長時間聴いていても飽きの来ない音です。

ただ、ひと味足りない音であるため、NJM5532DDに換装。すると、低域の再現力が一層増しました。あのAU-D607XDでさえ、トーン補正を一切せずに豊かな低域を再生しています。高域もまた美しくなってます。
楽器の定位も以前よりはっきりするようになり、ピアノの音も以前はチープ過ぎて聴けませんでしたが、改造により一皮むけた美しい音になって驚きです。

改造費としては、全ての部品を足しても\800以下と格安でした。



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