VUメータ(モドキ)の製作

OPアンプを使った簡単な音声レベルメータ回路



最近、針式のレベルメータ(アナログレベルメータ?)は一部のオーディオ好きな方々の間で注目されつつあります。もちろん、私もその一人です(^^;
この理由はひとつに、現代の分解能の低いデジタルレベル表示を見飽きて、逆に純アナログな動作をする針式が新鮮に感じたりするのがあるからだと思います。現に某社ではアナログレベルメータ付きのMDコンポを発売したぐらいですから。
音楽に合わせて、指針がピンピン動くのはたまりませんよね!

針式のメータは構造上、その応答性に難があり、それなりの精度(立ち上がり・下がり時間等)を出すにはかなり複雑な回路を組まなくてはならないようです。また、VUメータは対数表示となりますからlogアンプを通して非線形特性を持たせなければなりません。logアンプはOPアンプとダイオードかトランジスタで構成できますが、温度補償を考えるとちょっと難しくなるようです。
ですが、我々一般人が音楽を聴く同時に目で楽しむ、という程度で使うならば対数表示なんぞ気にしないとして、雰囲気だけ味わえればイイ!! となったとすると非常に簡単な回路ですませることができます。
※本格的なVU指示器の場合は、単に音声を入れるだけで対数(非線形)表示になるようです。

以下に紹介する簡単な回路に線形表示器を用いても、それなりの感覚は味わうことが出来ます。



回路


下図に示す回路が、この製作での回路です。これは1ch分なのでステレオとして使うにはもう1回路が必要になります。

この回路はおおきくわけてOP1周辺の増幅回路。D1/D2付近の整流回路から成ります。
・増幅回路
今回用いるのは単なる線形増幅器で、今回は手っ取り早くオペアンプを用いています。NJM4580を使いましたが、4558や5532などでも問題ないです。とにかく一番安い奴でOK。
オペアンプの代わりにトランジスタを用いてもできますが、その場合はエミッタフォロアを通し、インピーダンス変換を行った後にコレクタフォロアで増幅するなど、結構面倒です(一般のAV機器との接続ならば、エミッタフォロアのみでも良かったりしますが)。

利得は帰還抵抗R2で調整します。このアンプでは最大で20dB(入力電圧の10倍)としていますが、接続する機器に合わせて若干余裕を見て設定したほうが良さそうです。

電源の都合上、単電源で動作させるのが簡単だと思いますので、R2,R3で1/2Vccを作ってOP1の非反転入力にバイアスしています。
このため、必ず結合コンデンサを付ける必要があり、電源投入時にはC1,C2に充電電流が流れるために、接続されたメータが一瞬振り切れます。精神衛生上としてもよろしくないことなので、MeterとGNDの間に一定時間解放する、ヘッドホンアンプ製作3のミュート回路のようなものをつければ解決します。
・整流回路
ダイオードを2本使用した半波整流回路です。
ここではダイオードの順方向降下電圧(Vf)があまり影響しない整流波形を得ることが重要です。これはとくに音声ソース中の微少信号の場合、Vfの影響により整流されずにカットされてしまう場合があるからです。それを避けるためにはアンプの出力がある程度の大きさでなければなりません。
そしてここで重要なのは、使用するダイオードの種類です。

まず、Vfが0.3V程度のショットキー・ダイオードやゲルマニウムダイオードを使う場合は、アンプの利得はあまり大きくする必要は無く、アンプの出力が2Vp-p以上あれば、あとはVR2でメータにかかる電圧を調整すればそれなりに針が振れます。

つぎにシリコンダイオードを使う場合、Vfが0.6V以上あるためにアンプ出力は経験上3〜4Vp-p程度必要で、VR2でメータ電圧を調整します。この出力以下でもメータは振れますが、Vfが大きいため微少信号に対しては反応せず、どちらかというと低音のみに反応します。

結論的には、Vfよりも十分大きい信号をアンプから与えていれば良いことになりますが。
私は今回の製作では、1N60を使いました。
・CxとRx
Rxは分流抵抗ですが、私は手元にあった470Ωを使いましたが、OPアンプの最大出力電流およびメータの電流値を考慮して決定します。そしてRx両端に掛かる電圧をVR2で制限して針を動かします。



製作

これが出来上がった回路部分。VR2は入っていません。


メータ選び

針式のVU指示器は、秋葉原のパーツ屋でも結構な値段で並んでいます。予算的にも苦しいので、できるだけ安い物を入手したいものです。
H/Oなどのリサイクルショップで、安く出ているテープデッキから取り外すのが安くておすすめです。ついでにそこからメータ回路を抜き取れば一番簡単なのですが(爆)

メータによって振れ具合が違うため、動画で比較してみました。音楽ソースは葉加瀬太郎. Etupirikaの43秒付近で、約10秒/1.0MB程度あります。Quick time ver6.5のみで表示確認しています。
※音楽ソースが著作物の関係上、音声はありません。以下は全く同じ場所の音声を入力しています
右のは、古いアナログチューナから取り外したチューニングインジケータ。針の長さは40mm程度。
コイル抵抗は実測408Ωで210mVフルスケールです。


動画
なかなかいい感じで振れています。
目盛りが無いので面白くないですが・・・
これは秋葉のジャンク屋で\200/個で購入した安定化電源につかわれる物。針の長さは40mm程度。
コイル抵抗は637Ωで195mVフルスケール。


動画
これも上のメータとほぼ同じの振れ方をします。目盛りがそれっぽいのでいい感じです。

これはダイソーの電池チェッカに付いているメータ。針の長さは20mm程度。
コイル抵抗は702Ωで446mVフルスケール。


動画
これは酷いですね。スプリングの構造上、針の振れが滅茶苦茶になっています。時定数を掛けても無駄で、改造することにより若干は良くなりますが、実用に耐えるほどのものではありません。見てると気分が悪くなります(笑
このメータは音声表示には向きません。


波形で見る

出来上がった回路で、整流回路(D1とD2の回路)における、400Hz。1.5Vp-p 正弦波の入出力波形です。
上が出力、下が入力になります。順方向の半波整流ですので、正の周期しか出力されません。
ちょっと分かりにくいですが、この波形からVfは大体0.3Vのようです。
適当な音声を入れると、このように下半分(負の周期)がスッパリと切れているのが分かります。

さいごに
実際にメータを動かして貰うと分かるのですが、コイルに耳を近づけると、かすかに再生している音が聞こえるはずです。 半波整流しているだけなので当たり前ですね。大入力するとコイルが鳴きます(笑

線形的な動作であるため、高音などの小さい信号に対しては針は少ししか振れませんし、低音やボーカルといった大きな信号に対しては元気よく振れます。ここら辺は簡易的なVUもどき回路として目をつぶります。 

「VU」と書かれた本格的なメータが欲しいのですが、なかなか安い値段で手に入りません。
もし入手に成功したときは、きちんとケースに入れて表示させたいと思っています(ついでにlogアンプも・・・)。

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