山水 AU-D607X DECADE修理
その2
ジャンク入手した山水製プリメインアンプの修理。



プロテクトは外れ、一応音は出るようになりましたが、まだいろいろと問題点があるので調整していきます。
内部配線も強化してみます。



ノイズ元

「ボソボソ」というノイズですが、原因は交換した2SK30ATM-Yでした。やはり特性が完全に合っていないと駄目なのかもしれません。
元から付いていた2SK389に付け替えたら見事に解決しました。


調整作業

取りあえずの修理は完了したので、いろいろと調整作業をしなければなりません。

まずDCオフセットの調整ですが、電圧が測れるテスタが2台あると非常に便利です。片方のテスタをスピーカのHOTとアンプGNDに接続し、もう片方をCOLDと同じくアンプGNDに接続します。このときのアンプGNDは調整するch側のGNDに接続してください。シャーシのGNDではないので気を付けてください。
そしたら、バランス調整(仮名)を回して2つのテスタの電圧値が同じになるようにします。このときの電圧は何Vでもかまいませんが、できるだけ低い電圧の方が後々楽です。電圧を下げる場合にはレベル調整(仮名)を回します。完全に同じにすることは難しいですが、できるだけ差を無くします。
次にレベル調整(仮名)を回転させて2つのテスタの電圧値ができるだけ0mVに近い値になるように調整します。一度合わせても直ぐに値が変わってしまうと思います。そのため、数十分経ってから何度か調整し直します。

この機体の場合、約8mVのDCオフセットが出てしまいます。まぁこれくらいなら全然大丈夫でしょう。
続いてバイアス調整(アイドリング電流調整)をします。
調整方法は、対象となる増幅段のセメント抵抗(0.33Ω*2と記されている)の頭に2本の端子がありますので、そこにテスタを電圧レンジにして、写真の半固定抵抗を回します。V=(測定値)としてオームの法則でアイドリング電流を求めます。V=RIよりI=V/Rで、R=0.33*2=0.66として求めます。
あと3カ所も同じようにします。

この機体の場合、電源入れっぱなしでも放熱器が全然暖まりません。アイドリング電流を計算してみると約46mAでした。 「アンプが冷たい」なんて何か嫌なので、この3倍程度に上げました。これだと冬だと「暖かいな」ぐらいです。


さて、これでやっとマトモに使えるようになった訳ですが、NS-470で鳴らしてみるとスカスカです(泣
DCA-110と比べれば少しは出ているのですが、低域なんて「ズーン」じゃなくて「パスッ」です。高域も全然のびて無くて中域だけが目立ってます。思わずラウドネスのスイッチを押してしまいます。泣けます。


改善策

ツェナーを交換したのにもかかわらず、なぜか1V程度差が出ています。そこで低電圧電源の平滑後の電圧を測ってみたところ、3V程度の差がありました。となると整流ダイオードがアヤシイので交換してみます。
右が取り外した物。足が真っ黒になってます。足が黒くなった半導体は老化してる確率が高いようなので、早めに交換した方が吉です。
左はちょうど引き出しに入っていたBA40という正方形型のブリッジダイオード。足を加工して取り付けます。
取り付け後。なんとこれだけで低域が出てくるようになりました!!
以前と比べれば低域の力強さが出てます。
さらに、定電圧電源の平滑コンデンサに、部品取り用のNV-FS800の音声基板から取った音響用のフィルムコンデンサをパラっときました。
まぁおまじない程度ですね。
2003/3/20追記

定電圧電源回路の平滑コンデンサを交換します。松下の63V1000uF Mシリーズを使います。
写真にはあと4つコンデンサがありますが、これをトーン回路のBASS部分交換に使おうとしたら、容量を読み間違えて10uFを買ってこなければならないのに、100uFを買ってきてしまいました(爆)。よって交換断念。
マイラーは高域補償用に、コントロール基板とのアンプ基板の電源電解コンデンサに付けます。
取り付け後のマイラーコンデンサ。
取り付け後の電解コンデンサ。
このアンプはAC100Vに乗ってくるにノイズ敏感に反応します。近くで蛍光灯を点けた瞬間に「パチン」なんていう物凄い音が出るので、ACラインにSW電源から取ったコンデンサを入れました。
これで問題なくなりました。
リレー接点の掃除をします。使われているリレーの接点容量はAC125V3Aです。できればもっと容量の大きいリレーに交換したいのですが、行きつけの店にこの形が見つからなかったので断念しました。
接点を見てみるとビックリ! 真っ黒です。
本当はヤスリがけしたあとに接点グリスでも塗ると良いんでしょうが、手元にないのでそのままにしておきます。
RCAケーブルです。右から、ダイソーの\100ケーブル・MHC-J970EX付属ケーブル・自作ケーブルとなります。
自作ケーブルのピンジャックには秋月の\160/個だかのハイグレードを謳う物。ケーブルはBS-5C-FBというBSデジタル対応のBSアンテナケーブルを使いました。が、これがまた音が非常に悪いんですよ。この3つの中で一番悪いです。低域・高域ともにまるで駄目で、中域もなんだかはっきりしない音です。
それに比べて意外によいのが\100ケーブル。低域が思ったより出ていて他の域もそれほど悪くはないと感じました(AU-D607XD使用時)。


内部配線強化

内部のスピーカ用ケーブルや終段電源ケーブルが細いので、思い切って取り替えます。
左が従来のスピーカケーブル。右が交換する新しいやつです。audio-technicaのAT6138というスピーカ用OFCケーブルです。H/Oで\380/mですが、必要最小限の0.8m買ってそれを半分にして各chに使います。
ちなみにNS-470へのスピーカ接続ケーブルにもこれを使っています。
終段電源用のケーブルには、ホームセンターで\130/mの125V1500W対応ケーブルを使いました。
交換後の写真。電源用ケーブルが余ったのでコントロール電源配線(写真では初段用となってます)にも使いました。
交換したパーツたち。



音が良くなりましたよ!

いやはや、今までとは全く違う、綺麗で繊細な音になりました。
どれがどう効いたのかは分かりませんが(恐らくリレー接点が大きい?)、今までの高域の伸び悩みは完全に解消され、音が生き生きとしています! そのお陰でステレオ感もよりいっそう引き立ち、嬉しい限りです。バイオリンの音なんかも、今までは安すぎる?音で聞けたもんじゃなかったのですが、今回の改造で「上品」な音になってビックリです。
低域については、やはり今まで通りといった感じです。ただ、ラウドネス掛けると高域がきつくなってしまうのでトーン回路で持ち上げてあげます。が、ここでも変化がみられ、今まではトーン回路で低域を持ち上げるとボコボコ言って五月蠅かったのが、割と厚みのある低音になってます。

2003/3/20追記
さらにちょっとパワーアップしたわけですが、これだけでかなりの効果が現れました。
音に「みずみずしさ」とでもいいましょうか、潤いが出るようになりました。高域もまた透き通るように美しくなってます。
エージングのお陰で以前より低域も出るようになり、現在は完全に音質補正を掛けない状態で使用しています。

修理費用としては
33Vツェナーの\40。

メンテナンス・パワーアップ費用として
2SK389*2=\400
2SC603*6=\60
2SA1015*6=\60
電解標準品=\410
電解MUSE=\400
半固定抵抗=\400
内部配線材=\434
(\0の交換部品含まず)

計\2134
となりました。まぁこの改造で音が良くなったわけですし、十分満足ですね。



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