DC安定化電源の製作

0V〜13V 5A出力程度の直流安定化電源




電子回路を作る上で、電圧が可変出来る電源は最低でも1台は欲しいものです。また出力電流も、なるべく大きい方が様々な範囲に使用出来ます。
そこで、電圧0~12V程度の可変型で5A程度取れる電源の製作を考えました。
大容量のトランスは普通に買えばとんでもない値段ですが、ちょうど手元にジャンク屋で\300で購入した丁度良いトランスがあるため、これを利用します。
またOPアンプなどを動作させるための正負電源としても使えるよう、負極性電源として7905を使って5V1Aの定電圧出力も可能とします。

ということで、目標としては
・低コストであること。
・出力電圧が安定化されていること。
・正電源の出力電圧は0~12V程度の可変。電流は5A程度。負電源は5V1A。
・電圧計・電流計をつける。
・出力電圧の微調整ができると便利なので、正電源の出力電圧可変を2つに分ける。



ケース加工

今回使ったのは、\1040のアルミケース。上蓋にはスリットが入っており、見るからに「電源に使ってくれ」といった感じです。
サイズは高80*横130*奥行180mm。

実物と照らし合わせながら、ドリルでひたすら穴空けます。
角穴をあける箇所はハンドニブラを使います。この工具はちょっと高いですが、一度使うと、穴空けの快感を覚えるでしょう(w
今までこれと同じ作業するにはドリルで細かい穴をあけ、それを繋げてヤスリで・・・薄いアルミ板だとボコボコ歪んで修正が・・・なんてやってましたが、こういった苦労がバカバカしく思えてきます(爆
前面パネルの加工が済んだところ。
素子の放熱には、\100ジャンク入手のPentium4純正放熱器を使います。このようにCPUが入っていないだけで未使用品です。
流石、50Wクラスの素子を放熱するだけあって、かなりの肉厚で品質的にイイ感じです。
アルミ板が肉厚なので、ねじ穴はドリルである程度掘って、実際にネジを突っ込んでネジ穴を形成します。
整流用ショットキーバリアダイオードESAD83M-006(\40/個)と電力増幅用2SC4388(\50/個)をつけたところ。どちらもフルモールドタイプですので、絶縁の必要はありません。

ネジ穴空けについて、ここまでは問題なしです・・・
が、ケースとの接合用のネジ穴の形成途中、このようにネジが途中で折れてしまいました。おそらくある程度放熱器中にネジが入り込むと、アルミの膨張?を受けてそれ以上回転しなくなってしまい、それを無理に回したもんだから、力がこの部分に集中して破壊に至ったのではないかと。

仕方ないので、この穴の隣に同じように穴を空け、ケースへの取り付けのさいにネジが放熱器に入る長さを調整します。


部品・取り付け

平滑コンデンサは秋月で3個\200の松下35V4700uFを4個使い、低インピーダンス化として2.2uFフィルムを追加します。
平滑コンが1つ逆極性となってますが、これは負電源用となります。つまり正電源の平滑は14100uFと大容量です。
トランスの巻き線が正電源と負電源で異なるため、整流は別に行います。
出力電圧制御にはレギュレータICとしておなじみの723を使います。回路は検索すれば出てきます。
今回は、電圧・電流値の表示があるメータがあるため、それを切替えるリレー(切替えスイッチに1回路タイプを買ってしまったため。2回路2接点スイッチが有れば要らない)と、それぞれの校正用可変抵抗をつけてます。
電流値検出は電力増幅trのエミッタ抵抗間の電圧を使います。

ちなみに、電圧・電流値の表示付きメータはジャンク屋で\200で入手したものです。最大指示は16V/6Aの線形表示となっており、コイル抵抗は637Ωで195mVフルスケール。
このようにワッシャをかましてネジが放熱器に入る長さを調整します。
こんな感じでつきます。これでケース自体も放熱器になります。
部品を取り付けたところ。結構ごちゃごちゃしています。
-5V生成の7905はここに取り付けてます。バイパスコンデンサは日ケミのKZEを使っています。
横から。正電源側の増幅部から出力端子までは、昔買ってあったDENONのOFCスピーカケーブルを使いました。
トランスはそれぞれ12V5A,6.5V5A,12V1A,7.2V0.5Aと巻線が独立してます。
12V5Aの巻線を正電源に、6.5V5A巻線を負電源に使っています。

電圧・電流指示の校正を、半固定抵抗で行います。
ちなみに-5V側は電圧・電流監視はできません。

トランス固定のナットが付いていませんが、これは後に付けてます。
レタリングは\100のレタリングシートを使っています。

完成
メータの両サイドに麦球をとりつけて完成です。ここの電源は12V1Aの巻線から取っています。
出力電圧はRoundで大まかに調整し、Fineで微調整します。私は英語は得意ではないので、この単語が適切であるかは微妙ですが(^^;

総制作費は、手持ちの部品と合わせて丁度\3000程度でした。今回はトランスが安く入手できたので低コストでできました。
本体裏。放熱器の突き出し具合が最高です(w
負荷特性を見てみますと、13V時5Aの負荷電流で1.5Vp-pのリプルでした。4A程度ですとリプルはほぼゼロでした。また、これより電圧を上げようとしても電圧降下が激しくなり、リプルは増えます。




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