ヘッドホンアンプの製作3 OPアンプを使った超簡単な回路 |
今まで紹介した1石のHPAMPはエミッタフォロアであるため電圧増幅率が1以下であり、また単電源動作であるため結合コンデンサによる音質変化やポップノイズが生じてしまいます。
そこでOPAMPを用いた超簡単なアンプを紹介します。高出力のOPAMPであれば、十分な音質がえられることが分かりました。
回路だけは非常に簡単なので、より実用的にするためにデザインにも凝ってみました。
回路
・増幅回路 今回の主役となる増幅回路は右のようになります。典型的な非反転電圧増幅で非常に簡単です。 ここで電圧増幅率は と、まさに教科書まんまです。今回はR1=1kΩ,R2=3.8kΩを使用し電圧増幅を約5倍(14dB)とし、VR1=50kΩで可変できるようにします。 CDPやその他AV機器の出力は1V程度は軽くあるため、本当は2倍もあれば十分(1倍でも十分)なのですが、幅広く使いたいので余裕をみてこうなりました。 正負電源動作のOPAMPを用いれば、結合コンデンサが不要となって音質が良くなり、コスト削減にもなって(゚Д゚)ウマーでございます。 |
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・音声ミュート回路 電源投入時のポップノイズ(といってもDC結合なのでほとんどありませんが)除去と、アンプとしての安心感?を与えるために、電源投入3秒程度はヘッドホンとアンプとの接続を切ります。 アンプの負荷としてヘッドホンというデリケートなものを使うので、ホントはコンパレータでも使って10mV程度のDC漏れにも敏感に感じて遮断する回路も入れようと思っているのですが、いろいろと面倒なのでそのうち・・・(ぉ |
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・整流回路 整流ダイオードには60V3Aのショットキー・ダイオードを使いました。 整流後の電圧は約15Vありました。 |
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・その他 入力セレクタ回路などから構成されます。これは4回路3接点のロータリースイッチを使って、入力選択LEDなども点灯させます。 |
製作
まず問題になるのが電源です。今回はAC100Vから取ることを考えてますので、変圧回路が必要になります。そこで秋月で売られている12V200mAの\100ACアダプタのトランスを使うことにします。 これを2つ接続し、正負電源を実現することにします。 |
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ノコギリでACアダプタのケースを切断し、トランスを取り出します。 | |
ケース装着後。シリコン系充てん剤で接着しました。 また、ダイソーの銅テープを巻いておきました。 |
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増幅回路とミュート回路。 ミュート回路は、後々の保護回路のことを考えて左右別にしました。 OPアンプは、njm2114d, njm5532d, njm4580dd, rc4565dd, ne5532p,でそれぞれ聞き比べましたが、私の好みはnjm5532dでした。 アンプ電源のバイパスにはELNAのRJJを使ってみました。本来このような用途に低インピーダンス品を使うことは禁止されていますが、個人的にRJJの音と外観が好みなので、それを承知で使いました。 |
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整流回路。 ダイオードと並列にセラミックコンデンサを接続しましたが、相手がショットキー・ダイオードなのであんまり効果ない? 平滑コンデンサは秋月で3個\200の松下製のを使用。 ちょうどこの基板の下でGNDをシャーシに落としています。 |
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2次側トランスから整流回路までの電圧転送には欲張ってfostexの\300/mのスピーカケーブルを使用しました。本来はツイストペア線の方が良いのだと思いますが、まぁなんというか、自己満足ですね(^^; トランスと回路の間に銅板を入れて漏れ磁束対策みたいなのをやってみましたが、これも自己満足(^^; といいますか、これは後に起こる問題点を解決させようと入れた物なのですが、効果無かったです。 アッテネータは奮発してALPSの\800のを使い、レタリングはダイソーで買った銀色レタリングシートを使いました。 ケースはラジオデパートB1Fの深澤1号店で\800で購入。このサイズ(165*120*40mm)はまさにドンピシャです。 ボリューム・セレクトツマミは鈴商で\100で購入。アルミ製でそこそこ重量があって良い感じです。 |
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入力は3系統とし、CD,FM,PCの音声をセレクトします。 | |
ACコードはmonsterのHP.XPという\580/mのスピーカケーブルを使ってみました。 このようなスピーカケーブルは耐久性についてはちょっと分かりませんが、まぁいいでしょう(^^; |
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上から | |
ゴム足を付けてます。 | |
問題発生
一応完成したので適当なソースを入れて聴いてみたところ、「ブーン」というハムノイズが出ています。 1点アースを気にしたつもりでしたが、入力端子でGNDが共通に成っていました。 RCAジャック付属の絶縁ワッシャだと入力端子同士が若干干渉するため、本体背面では見た目が悪くなります。そこで背面側は絶縁テープを使います。 |
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さらに、出力端子もシャーシから浮かせます。 これで問題なくなりました。 が、一つ疑問に思うことはこれらの対策をする前に、一度電源を外部から供給(整流以降は本装置)してみたところ、ハムノイズが一切出なかったことです。 たにりそさんに尋ねたところ、磁気結合ノイズではないか、ということでした。確かにそうなのかもしれません・・・ |
完成
HD600との組み合わせもばっちりです。 電源投入後、3秒程度経過するとリレー音と共に本体前面のoutput-LEDが点灯し、増幅された音声が出力されます。 ソースはDVD-A7を使いましたが、そのヘッドホン端子の音よりも遙かに解像度が高く、楽器の定位がしっかりしている音が楽しめます。CDによっては思わず鳥肌が立ってしまいます。 ピアノの音もより本物に近い音で、爪が鍵盤に微かに当たる音まで聞こえてビックリです。 総制作費は\4000強でした。ACケーブルや内部電線にスピーカケーブルを使ったために結構高くつきました(^^; さらにRCAジャックやATTをケチれば\3000程度でできそうですね。 |
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