液晶ディスプレイの再利用

ジャンク入手した液晶割れPCディスプレイを改造して再利用する。




これを入手したのはかれこれ1年ちょっと前になります。今は姿を消したT-ZONE junkで、三菱のRDT151Eが「電源はいるが画面が出ない」というのを\1kで入手しました。なんと箱入りで非常に状態が良く、取扱説明書や電源ケーブルなどの付属品もありました。見た感じでは未使用品です。
家に帰って早速電源を入れてみると・・・・

これですよ。
となれば、どうやら輸送時の衝撃による破損が、ジャンクになった理由みたいです(ちなみに本体箱には某運送会社の伝票が付いていました)。
その後、代替の液晶を探したのですがなかなか手の届く範囲ではなく、結局放置されてました。

これを今回、LVDSトランスミッタをあらたに付けることで、入手しやすくなったLVDS液晶での使用を考えます。



解析

これが割れた液晶。LG-PhilipsのLM151X2という6bit-1chデジタルRGB液晶です。
おそらく動作確認のために1度だけ通電したぐらいでしょうから、バックライトの蛍光管の部品取りには最適でしょう。

この型番からも分かるように、パネル自体は全くの汎用品です。
三菱は、PCディスプレイの名称に「Diamond **」と入れるのが好きなようですが、これは単に**に入る単語でディスプレイの種類を指すようです。例えばScanならブラウン管、Crystaなら液晶といった感じです。
つまり良好な画質を得るための技術ではないようです。なんとも紛らわしいというか何というか(メーカ側はこれを狙っているのかもしれませんが)
この液晶は、アナログRGBをgmZAN1でデジタルRGBに変換して表示しています。
gmZAN1はOSDコントローラ(?)も持っており、この1チップでほぼ全ての役割があります
この写真は、左からインバーター、電源、映像関連基板となります。

(写真取り忘れたので、昔に撮った写真を使ってます。シールドを外して撮影したものです)
そのgnZAN1が載った基板。もの凄くシンプルです。
OSD情報が入ったROMも見えます。
右端のコネクタがデジタルRGB出力となります。
例によってウ*ココンデンサが搭載されています。


LVDS化する

そもそも、RDT151EをLVDS化させる切っ掛けとなったのが、このQC-Passで\50で入手したF社のノートPCマザー、MMX世代の物のようです。CPUやRAMなどは付いておらず「基板のみ」。保留用部品の袋に入っており、未使用品です。

このマザーにはVGAとしてTrident Cyber9382が実装されており、そのため映像出力はデジタル/アナログRGBのみとなります。しかしこの機種はLVDS液晶を使用するらしくTI社のSN75LVDS84というLVDSトランスミッタも実装しています。

当初はOSコンやSBDなどを部品取りするつもりで買ったのですが、意外な収穫があってお得でした。
とりあえずSN75LVDS84を基板から外してみました。
ピッチが0.5mmと非常に狭いです
まずGNDを取りやすくするために銅テープをICに巻きます。と同時に、GNDピンはICの下へ折り曲げ、VccピンはICの上へ持ち上げ電源配線のスペースを確保します。
IC下に折り曲げたGNDピンは、このように全て銅テープへハンダ付けします。
Vccのほうは各信号ピンの配線の後に、抵抗のリード線を使って接続します。
ICの場所は、この位置にしました。GNDを抵抗などのリード線で基板のGNDに固定し、ポリウレタン線でICの各ピンから信号線を引き出します。
このハンダ付け作業が物凄く大変で、とにかくICのピッチが細かいので、気を落ち着かせて肩の力を抜いて行わないと、コテ先が震えてせっかくハンダ付けした隣のピンとブリッジを起こしたり、線がはずれたりします。
また、このハンダ付けにはコツが必要で、単にポリウレタン線とICピンをハンダメッキしただけだと、ICピンに上手く繋がらないようです。コテ先にハンダをコーティング(メッキ)し、そのわずかなハンダ量でハンダ付けするとうまくいくようです。しかしそのハンダは新鮮なうち(数秒以内)に行わないと効果がないようです。
ってな具合で、途中投げ出しそうになりながらも(笑)、なんとか配線しました。
ICの電源ラインには低インピーダンス化としてチップコンデンサを載せています。
LVDS信号は中継基板を設けてLCDに送ります。
その後、ケースに収めようとすると中継基板が出過ぎて入らなかったので、このようにカットしました。が、そのときポリウレタン線の数カ所がICからはずれてしまい、またハンダ付けするはめに・・・
とりあえず配線自体はできたので、LVDS液晶を接続してみました。
すると確かに映像は出力されるのですが、ご覧のように普段なら灰色であるはずのタスクバーなどがピンク色になってます。

相性なのかと思って液晶を変えてみたり、ノイズの影響かとも思って中継基板から液晶までの配線を短くしたりしたのですが効果無し。
そこで、配線ミス(特にデジタルRGB信号のR部分)を調べ直すと、なんとICのD4,D5がgmZAN1からのR0,R1に繋がってました。つまりD0,D1組とD4.D5組が逆に接続されてたと。
そこの部分を直すと、問題なく発色しました。
様々な条件で表示させてみましたが、目立った問題はなさそうです。しかし・・・
テキストやグラフを表示させると、右の写真のように黒のラインのすぐ左端のあちこちで1ドットの黒ノイズが確認できました。場所は決まっておらず、チラチラとあちこちで発生します。
どうやら黒色表示がされていれば起こるようで、試しに電源ラインにOSコンを追加してみましたが効果無し。
ノイズ量としてはそれほど多くはないのですが、ちょっと気になります。

(クリックで拡大)
もうひとつ問題が・・・
入力が無い時に出る「no signal」の表示の時、このように同期が掛かりません。
これはいったい・・・
フラッシュで確認しにくいですが、画面中央下にある「no signal」表示が画面上部から斜め下に流れていきます。

まぁ信号がある時だけ正常に映ればそれでよいのですが、なんか気持ち悪いですね(^^;

バックライト調光
これはもとのインバータ。LVDS液晶のバックライトを駆動するために片側だけ使用してみましたが、電源投入時に一瞬光るだけでした。どうやら両方の負荷が無いと電圧が出ないようです。
また、このインバーターは15インチの蛍光管を駆動するものなので、手持ちの14インチLVDS液晶の蛍光管にそのまま使うのはちょっと危険です。

インバータは手持ちにいくつかあるのですが、どうせならOSDからの調光を行いたいものです。このもとのインバータにはBA9741Fが実装されており、調光はgmZAN1からの制御信号で行われています。
その制御信号というのはシリアルデータではなくて、単なる直流電圧のようです。
OSDで輝度が最大のときは4.41Vを示しています。
輝度を最小にすると、0.51vになりました。
このインバータはジャンク入手の日立14インチLVDS液晶に付いてきたインバータ。これにはDS1803とMP1010の2つのICが載っており、調光及びインバーターの制御は後者で行っている模様。データシートを見ると、MP1010の1番ピンに掛かる電圧により調光が可能になるようです。そして4番ピンがインバータのON/OFFとなります(Active:H)。
シリアルデータをDS1803で変換してMP1010に送っているため、そこのパターンをカットして電圧を与えてみます。
データシートでは1番ピンの制御電圧は0〜2Vとあったので、gmZAN1からの制御電圧を抵抗で分圧させて送ってみました。

すると、OSD上から正常に調光ができるのですが、どうにも画面がちらつきます。オシロを使えば分かるハズですが、おそらく60~70Hzぐらいで点灯しています。
このインバータは輝度制御としてPWMを使っているようですが、これが原因のようです。
あまりにちらつきがひどいので、これは使い物になりません。
仕方ないので、別のインバータを付けました。
これはF社ノートPCのものと思われるもので、制御ICはTI社のTI1451Aとなっています。これも電圧による調光ができるようですが、その電圧範囲が非常に狭く、実験上1/2Vcc程度の間で数十mVの範囲となっています。その値より高いと最高輝度。低いと発振が停止してしまいます。
そのため、このままgmZAN1に利用すると、OSDの輝度調整ではある値を境にバックライトのON/OFFがされるだけでした。
仕方ないので、OSDでの調光はあきらめることにしました。
最高輝度だと明るすぎて目が痛くなるので、可変抵抗による調光機能が備わっているインバータを使い、輝度を中間に固定して使うことにします。
またバックライトのON/OFFは、gmZAN1からのENABLE信号を使いました。

一応完成

こんな感じで液晶を入れてみました。単に裏側に両面テープで貼り付けているだけです。
なんというか、物凄く見た目が悪いですね(^^;
15インチのLVDSもどきとき売られているのを見るのですが、安く手に入りそうであれば
そちらに交換したいと思っています。


今回の制作費としては
RDT151E \1k(ジャンク入手)+日立14.1インチLVDS液晶 \1.5k(ジャンク入手)=\2.5k
程度でした。インバータや配線材についてはタダで入手した物なので含まれません。

LVDS化改造後の液晶

MG9/85Cの液晶
これは完成したRDT151EのLVDS化液晶(日立製14.1インチ)と、手持ちのMG9/85Cの液晶を比べたものです。
RDT151EはアナログRGB→デジタルRGB→LVDSと変換されていますが、画質そのものはLVDS直のと変わりませんね。
ただし先ほどのノイズも、黒文字であるために現れます(写真には偶然写っていませんが)






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