SONY FH-B10の修理

HARD-OFFで\1500で売られているジャンクCDミニコンポを発見!!
速攻で購入。修理しました。



私は毎週1回はHARD-OFFに行き、ジャンク品をチェックするのですが、そんなある日。たった\1500で売っているSONY製CDミニコンポ(ジャンク品)があったので買ってきました。
説明書きには「CD認識せず。カセットA、B不調」とありましたが、カセットはギア欠けと見て、CDはレンズの汚れだと思いました。
もし直んなかったとしてもスピーカーだけでも十分な価値はありますし・・・

この機種は94年に発売されたモデルです。「なんだかどっかで見たことあるような・・・」とおもう方もいるかと思いますが、このときにMHC-J970EXも同時に出ています。そのデザインを真似たものですね。
→カタログを見る



症状を確認する

この\1500って札。ホント安いですよね。 CDアルバム1枚だってこの値段では買えません(特売品を除く)。
CDを入れてみましたがCDが回転しません。Technicsの例から、いやぁ〜な感じがしてきました。


分解する

うらフタをはずしてみます。一体型コンポでは典型的な設計ですね。アンプの放熱器もヒダが多くてよさげです。
またこんなバカでかいトランスを使ってやがります。要 省電力化改造ですね(笑)
CDドライブは一番下にあります。そこにたどり着くまでかなり苦労しました。
レンズをパッと見てすぐに曇っていると分かりました。そこでアルコールと綿棒でレンズを掃除し、完了・・・

と、いきたいところでしたが・・・

実際にCDを入れてみると、今度はめでたく再生できました。
CDにもよりますが、トラックの中盤からノイズが乗り始め、最終トラックまでくるとノイズまみれで聞けたもんじゃありません。
しかもCD-Rで焼いたやつは酷く、トラックの後半になると音が飛び飛びになってしまい、いきなり最初のトラック(1番目)にもどって、初めから再生しなおす無限ループになるのです。

そこで、ピックアップ移動ギアのグリス切れを疑いグリスアップやCRC注入などやってみましたが、症状は全く変らず、レーザーレベルも調整しましたが、こちらも全く変りませんでした。
やけくそになったので、レンズ部を取り外して、内部の反射鏡やレンズの裏側も徹底的に掃除しました。

しかし、こんどは普通のCDでもノイズが乗りまくってしまいました。
ガーン
これでは逆に壊しているぢゃねぇか!!


矢印で示しているのはレンズを固定するためにハンダづけされていたところを色で区別したものです。
どうやらレンズを取り付ける際に、このハンダの取り付け位置がほんの少しずれたため、レーザーの焦点が合わず、読み取りエラーが続出した結果、ノイズが載るようです。

そこで実際にCDを再生し、ハンダを溶かしてノイズが乗らない位置に移動させる作業をします。移動させるといっても、何百分の一ミリですから、調整には程遠い時間と忍耐力を必要とします(爆)。
しかもハンダは時間が経つと冷えますから、その分縮むのです。するとハンダ付け直後では正常に再生できても、数時間後にCDを再生するとノイズが乗ってしまうのです。
調整にはまる2日かかりました。


そして復活!!

トラックの最初から最後まで、ノイズが全く乗らずに再生できるようになりました! 
YAMAHAのクソドライブで焼いたヒネクレメディアはさすがにノイズが乗りますが、プレクので焼いたCDはバッチリ再生できます。


すぴーか〜
このスピーカーですが、かなり音が良いです。もちろん低音・高音共にMHC-J970EX(以下MHC)にはかないませんが、中域がスバラシイです。低域(約110HZ)〜高域(12KHZ程度)まで、かなりいい感じにつながっています。
そのためボーカルが浮き出て聞こえ、MHCでは感じ取れない音でもこのスピーカーではハッキリ分かるのが立派です!(ちなみに他のスピーカーをこのコンポに繋げると、そうでもない) 
大きめのダクトが2箇所もあり、「SONY特有のデザイン重視の性能最悪」な設計かと思いきや、これがちょうど良いらしく低音も100HZあたりで上手く共振します。低音再生にはD.B.F.Bという電気的ブースト機能があり、低音レベルを3段階で調整できます。低音あたりは、今も昔も変っていませんね。パッと聞いてSONYの音だとわかります(MHCは例外)。

3ウェイでツィーターが2つ見えますが、実際に聞こえる音を出しているのはコーンタイプの方です。カタログでは「ウーファー13cm、ツィータ4.5cm、スーパーツィータ2cm」とありましたが、どうみてもこの「スーパーツィータ」圧電素子にセンターキャップを付けただけの物です。大音量にしてかすかに高音が聞こえるので絶対そうだと思います。
設計者は「スピーカー2つだけだとデザイン悪いから付けちゃぇ」みたいな感じだったのではないでしょうか。デザイン重視のSONYのことですから・・・
そーいえばこのコンポ、スピーカー・コンポ本体共に国産なんですよ! この機種は94年に発売されたコンポの中では下位機種なのですが、こんなもんでも日本で生産してしまうところは、さすがSONYと言うべきなのでしょうか(このころから他社では生産拠点をマレーシアやシンガポールに移している)。
ちょうどこのころ(94年)は私が思うにミニコンポ(というかオーディオ機器)全盛期で、各社からかなりの数の機種が出ました。当時私はミニコンポが欲しくて欲しくてたまんない状態で(その前はPanasonicのRX-DT75が欲しかった)、ビクターのMX-M100かこのFH-B10かどっちか買いたいな〜と思っていたのですが、結局買わ(え)ずに親父から譲り受けたYAMAHAの2ウェイスピーカー(12万したそうだ)にOTTO(三洋電機の昔のブランド)のアンプを繋げてFMラジオとCDからダビングしたカセットだけを聞いていた記憶があります。

★最大入力は70Wだそうですが、どうみてもこんなスピーカーじゃ70Wも出せるわけがありません。 まぁ、いいですけど。
あまりにコンパクトなコンポなので、MHCのスピーカーと比較しちゃったりなんかします(爆)。MHCのデッケぇ!重さも3倍上あるかな(MHC)。

そしてデザインが非常に良く似ていますよねぇ〜。本体側も雰囲気的にMHCです。
このSPは低音は出るのですが耳に入るのは110Hzあたり以降なので長時間聞いていると疲れます。低音をもっとマイルドにしようと思って、試しに片方のSP箱のなかに、ウールを敷いてみました。
ウールを敷くといっても、このSPボックスには取り外しネジが無く、接着剤で固定されています。「背面は金づちでぶち抜けば取れるかな?」とおもってやってみましたが、ビクともしません。
しょうがないので入力端子の部分を取って、その穴から180*250mm程度のウールをボンドをつけて入れ、針金で伸ばして箱の裏面にぴったり付くようにしました。

この状態で音を鳴らしてみたら、なんとビックリ。逆に低音が出なくなってしまったのです!
そこでGOLD-WAVEでサイン波を作成し、10Hz〜300HZ程度まで、ウール有りと無しのSPの共振具合を見てみると、20Hz程度の周期でウールありと無しのSPの共振が逆転します。このダクトの設計が共振点100Hzだとすると、100Hzで一番よく共振するのがウール無しの方なのです。
70Hz付近ではウール有りの方が良く共振するのですが、出てくる音は70Hzではありません。

そんなことで、もとに戻しました。



パワーアンプ部

アンプ/電源部に分離できるのは良いですね。 パワーICにはSTK4132Uというのを使っています。6Ωで35+35Wだそうで。



この機種の特徴

この機種には機械オンチな方でも簡単に使えるようにEZボタンというのが付いています。
電源ボタンの下にあるヤツがそうです。コレを押すとTUNER/TAPE再生(Bデッキ)/CD再生のボタンが点滅し、その中から聞きたいソースを選択するだけで演奏するというものです。このボタンで起動した場合、タイマー設定や音質調整、プログラム再生などの細かい機能は一切作動しません。



修理完了〜〜

修理費\0で直りました。テープの方は、そのうち直そうと思います。
このコンポはコンパクトな上に音も良いので、一人暮らしをするときに持っていこうと思います。



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