Panasonic EAB-MPC57S改造


使っているうちに少しずつ不満が出てきたので、いろいろと改造してみました。



このスピーカーは高2のころAKIBAGAIのGWプレゼント企画で当選したものです。私が始めてインターネットを通じて当てた賞品です。
このプレゼント企画では、このほかにSocket370のM/Bが合計で10枚近くありました。このためだけに、無料メールサービスでメールアカウントを15個ほど取得し、1人1口までというので、家族の分から友達の名前を借りてでも応募しました。本当はM/Bを狙って一生懸命文章を打って応募しましたが(「俺コン様にはいつもお世話になっております・・・」とか)、さすがにこちらは当たりませんでした が、このEAB-MPC57Sが当選したのです。初めて自分で応募したやつが当たって、たまらなく嬉しかった記憶があります(当時の「ぼやき」に書いてあるかな?)。

音は「Panasonicらしい」といったところです。私が思う「Panasonicの音」とは、いわゆるドンシャリ系の音です。
特にこのスピーカーでは「エアロハンマー」というBOX構造で低音を増強する方法が採られており、その迫力はかなりのものです。 初めてこのスピーカーの音を聞いたとき、「おおー さすがパナソニック」と思ってしまいました。

それで、なぜこのスピーカーに不満を持ったかというと、「ヘッドホン使用時では音が小さい」ということです。スピーカーでは大きく鳴らしていてもヘッドホンに繋ぎ変えると音量がガクンと落ちてしまうのです。




とりあえず開ける

さすがPanasonicだけあって、空気漏れ対策はきちんとされています。カバー接触点や端子周りには薄いスポンジ状のシールが貼られており、ボリューム周りもプラスチックカバーで覆われています。
でたぁぁぁぁ〜〜←驚きすぎ

この超巨大マグネット搭載WOOFER。BOX全体重量の8割はこのスピーカーの重さで占めています。なんとスピーカー口径よりもマグネット口径の方がデカいんです(もっとも、防磁設計だからかも)。
凹凸エッジの採用で歪を大幅に削減した独特な形。ほとんどがエッジとセンターキャップで占められていて、コーン紙の部分はほんの少しです。
押してみた感想は「ちょっと硬い」かな? エッジはやわらかいけどダンパーが硬いです。

ちなみにこのスピーカーは93年ごろに発売されたPanasonic CDラジカセ「RX-DT75」と「RX-DT95」にも搭載されています(他にもあった気が・・・?)。
パワーアンプ部です。気にくわないのは松下製なのに部品が中国製ということ。コンデンサなんか「SUNCON」という(いえ、アノ人ではないよ)聞いたこと無いメーカーでプリントも安っぽいです。パワーICはローム製。4558Sの加算回路を通して増幅されています。
アンプはBTLです。ここら辺は評価できます。
こちらはUSB関連のフィリップス製ICです。インターフェース・D/A変換をすべてこのIC1つでやっています。



改造個所

このスピーカーですが、ヘッドホンジャックを抜いても1秒ほど間が合ってからスピーカー側に切り替わるため、内部で電気的な切り替えが行われているようです。

ヘッドホン端子周りを確認しました(写真の左下)。橙色で囲った2つの端子は常時ショートしているのですが、ヘッドホンジャックが差し込まれたときだけショートが解除されるのです。そして、そのパターンを追っていくと先ほどの三洋製パワーICにたどり着いたのです。
つまりこの2端子のショートが解除されるとミュートがかかるのです。そのためヘッドホン使用時はスピーカーからは音が出なくなることになります。


それで、音が小さい原因は、ヘッドホン専用アンプから来る途中に発振防止回路を通り、なぜか100Ωを通過してからヘッドホンに出力されます。たぶんこれが原因だと思って100Ωのチップ抵抗を並列に入れておきました。

ヘッドホンの音量不足はこれで解消しました。
ちなみにコレがヘッドホン専用アンプ(写真中央)です。JRCのNJM2073です。このICですが、非常に音が悪いです。回路の設計に問題があるのか、部品自体に問題があるのかわかりませんが、中域だけ妙に強調されて他は駄目です。言い過ぎかもしれませんが「電話の音を聞いているよう」です。
これは要改造ですな。
円で囲ったとこはミキシング回路です。このスピーカーにはUSBのほかにアナログ音声入力が2系統あるからです。このミキシング回路が実に簡素なもので、セラミックコンデンサと10kΩの抵抗だけです。
私はmp3やCD-DAはUSB経由で出力してMIDIだけはこのスピーカーのライン入力に入れているのですが(XG音源好き)、USB経由で音を出しているときにライン入力にMIDI出力を接続したとたんに音量が下がるんですよ。これってやっぱり問題ありますよね。


音質改善計画

載ってるコンデンサがチープなので、BS900修理時に不要となった交換後音声基板の音響用コンデンサを移植することにしました。
容量・耐圧ともに同じようなものだったので、矢印のコンデンサ以外はすべて取り替えることができました。
マイラーコンデンサも交換したかったのですが(BS900のマイラーコンデンサは音響用)、容量がまちまちだったので止めました。

★余談ですが、このスピーカーには音量調整用ボリュームのほかに高音調整用ボリュームがあり、高音レベルをコントロールできます。しかし、これは単純なR/C回路でできたトーン回路(共振回路)の高音レベルを調整しているだけなので、抵抗値とコンデンサの容量を変えれば低域のレベルをコントロールすることも可能です。


★おまけ★
USB接続時の音質向上法

このスピーカーはドライバがWindowsに標準で入っているものを使うため(ドライバ自体Panasonicのサイトで公開されていない)、音質に関して若干の問題があります(win98/2000共通)。それは、「マスター音量をある一定値以下にしないとトーン調整の効果が無い」というもの。せっかくトーン調整で低音を最大にしても、エアロハンマーの威力を出し切ることができないのです。
※この方法はEAB-MPC57シリーズをUSB経由でPCに接続したときのみ有効です。

★対策としては、マスター音量を右の位置にすることです。この位置より少し下だと低音がより大きく聞こえますが、中域がガクンと落ちてしまい、逆に上に上げると低域が落ちてしまいます。
低音レベルは好みにもよりますが、最大に設定するとかなりズーンときます。


結果報告

音響用のコンデンサに取り替えたことで、低域が前よりも出るようになりました。今まではライン入力から入れた音はほとんど低音が出ていなかったけど、今回の改造で低域の伸び・ステレオ感が倍増しました。
また、このお陰でヘッドホンの音も前よりは良くなりました(けど満足できるレベルではない)。今度専用のアンプを設けようと思います。また、低音ブースト回路も追加しようと思います。



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