YAMAHA CDR-HD1300改造

民生機のPCM-HDDレコーダを弄りました



AKAI DA-F9000を入手しまして、これで聴くJAZZはなかなか良く、HDDにPCM録音が出来るCDR-HD1500が欲しくなりました。
また巷の話「音楽CDの再生についてまわるジッターが音質に影響を与えている、HDDや半導体メモリに記録し再生するとその影響を低減できる」とかいったようなのも気になります。

そう思い続けて1年経過したころ、H/Oにて運良くCDR-HD1300のHDD録音OKジャンクが\13kで出ていたため、たまらずひっつかみました。
CDR-HD1300はCDR-HD1500の1つ前のモデルで、搭載可能なHDD容量の上限が異なったりするだけで基本性能は同じ(はず)です。
しかも80GBのHDD付き!

早速調べてみると、CDドライブのトレー排出不良と、JOGスイッチ不良(JOGの軸が抜け落ちる)の不具合がありましたが、それぞれローディングギアに付着した埃の固まり除去と、ロータリーエンコーダーを手持ちの適当な物に交換することでOKとなりました。

そして本機をトラポとしCD→HDDにコピーした音を聴いてみたところ、第一印象は極端に言うと歪みっぽいようなノイズっぽいような、雑味のある感じの音でした。

どうも納得がいかないので改造しました。


調査

中身をみてみました。

電源部の変圧はトランスを用いています。タムラ製?40VAくらいでしょうか。

電源SWは1次側を直接OnOFFしています。
変圧後はこの基板に入り、電圧レギュレーションされ各回路に出力されます。

HDDとCDドライブのレギュレーションにはスイッチング式を、マザー基板のレギュレーションは電圧ドロップ式を用いています。

内部廃熱のため筐体内にはファンが取り付けられています。マザー基板に実装されているサーミスタで温度検出し、有る一定の温度で回る仕組みになっています。

それにしても、パタンの設計がちと・・・
マザー基板。

DAIはYSD917、信号処理としてYDC126、マイコンはSH2が実装されています。
コーデックICは旭化成でした。

CDR-F1に動作音が似ているCDドライブと、Barracuda ata4がIDEケーブルにてマザー基板に接続されています。


マザー基板改造
デジタル電源部のケミコンを全てOSコンにしました。
これにより高域のヌケが向上する経験があります。

SPDIF出力のパルストランスを、ジャンクGigabitLANボード(サーバー用?)から抜き取った物に交換、カップリングコンを松下のフィルムに交換。
これにより音全体の歪み感が減少し、クリアになる経験があります。
電源改造
あの雑味のある音の元は、どうにもスイッチングレギュレータのような気がしてたまらないので、電圧ドロップ式をこしらえました。

ここではCDドライブとHDD用の+12V、+5Vと、ADC用の+15V、−15V、+5Vをつくります。
どちらも電圧制御にOPアンプを使用した回路です。


ただし電圧ドロップ式は電力損失が大きいため、使用するHDDによってはトランスに定格以上の負担を掛ける可能性があります。とはいってもトランスの定格が分らないのでアレです。2.5HDDを使えばそれほど大きな問題では無いかもしれません(振動ノイズも減るし・・・)

FL駆動回路やリセット回路は、従来の回路を載せています。
電力消費が激しいと思われるCD&HDD電源の平滑には、未使用ジャンク入手22000uFケミコンを使用しました。

OPアンプはお気に入りのNE5532ですw
ツェナーで基準電源をつくり、OPアンプにて出力端の電圧と比較、フィードバックを掛ける仕組みです。
パワトラは手元にあった2SC3281を使用。
後述するADC電源専用に、電源トランスを1個追加しました(ジャンクCDP-203から抜き取った物)

一番右のRコアトランスは、後述するタイマー専用の電源として載せました。
マザー基板への電源供給は従来から電圧ドロップ式ですが、音質の選択度を上げるためOPアンプでこしらえました。
CD、HDDの電源コネクタ直近に固体コンを入れて電源ノイズを吸収させます。
ADC改造
DA-F9000のアナログ音声を高音質で取り込みたいため、ADCの改造を行います。

現状は旭化成のAKナントカが載っていますが、あくまでオマケといった感じです。試しにアナログ入力にて録音してみましたが、残念な結果でしたw
現状の回路は、周辺のアナログ回路含め音質を狙った設計ではないため、この回路に手を加えるのは無理がありそうです。
そこでADCを新たに設計しました。
CS5361を使用しSNとダイナミックレンジを向上・・・させたつもりですw

OPアンプをお気に入りのNE5532とし、CR類もお気に入りの物を使いました。
電源もデジアナ専用にこしらえます。
ADCのマザー基板信号割り込ませポイントです。
MCK、BCK、LRCK、DATAはそれぞれ元のコーデックICの各信号の所に割り込ませればOK。ただDATAはコーデックICとの接続を切った方がいいでしょう。

ついでにコーデックIC及び周辺回路への電源供給は不要となるため、必要箇所をパターンカットします。
(トラポとして使うため本機内にDACは不要)
録音レベル調整には、フロントパネルにある従来からの可変抵抗を用います。
写真はアナログ音声の配線をしたところ。
ADCの動作確認をしてみます。

DA-F9000アナログ出力からADC経由で録音してみます。
音質は従来から格段に向上しました。分離が良くクリアで気持ちがいいです。

レベルメータを見ながら録音レベル調整も問題なく行え、使い勝手は従来通りです。

タイマー回路搭載

お気に入りのFMが放送される時間帯は会社に居ることが多く、なかなか聴けなくて悔しい思いをしています。
そこでタイマー回路を載せて自動的に録音されるように改造します。

写真は電子工作コーナーで紹介したタイマー付き時計です。これをタイマーコントローラとして使用します。

市販のオーディオタイマー(AC100VをON.OFFするもの)は、それに使用される電源コード、コネクタを経由して録音機器に接続されるため、音質が変化してしまう可能性があります。
なるべくそれを減らしたいことから、本機内にAC100Vのスイッチングをするリレーを搭載することを考えてみました。
タイマーコントローラーには常時電源を供給しなくてはならないため、省電力が期待できるRコアトランスで変圧を行います。

それを整流平滑し3端子で5Vに落とす基板です。
安定化された電源はタイマーコントローラに供給されます。
タイマーコントローラーでは設定時間になると特定のポートがLになるため、それをこの基板に持ってきてトランジスタでリレーをドライブさせAC100Vをスイッチングします。
リレーはトランス直近に配置しました。
電源スイッチとパラに接続します。
リアパネの改造を行います。
3.5φのステレオミニジャックをつけます。使用したミニジャックコネクタはGNDとリアパネシャーシ間が絶縁されるタイプです。
これをタイマーコントローラー出力とDA-F9000へのリレードライブ制御信号出力用につけます。(写真左側)

SPDIF入出力とアナログ入力のピンジャックコネクタも交換しました。

また7200回転大食らいHDDのお陰で+5V側のパワトラが猛烈に発熱するため、従来付いていたファンを外付けし、5Vで低回転動作をさせました。
DA-F9000改造
タイマーでONになったとき、チューナ側の電源もONしなければならないため、
その制御信号(リレードライブ)を入れるための改造をします。

リアパネに3.5φのステレオミニジャックをつけます。
使用したミニジャックコネクタはGNDがリアパネシャーシに落ちてしまうタイプのため、無駄なGNDループを防ぐため、信号はミニジャックのLとR部分を使います。GNDは使いません。
リレーは電源スイッチとパラに接続します。


総評


改造後、一聴したときは「正直改造前と変わっていない」でした。
かなりショックでしたが、4日連続エージングしたところ、全く別の音になりました。
クリアでまとまりの良い音といいましょうか、好みの音です。
まぁどれがどう効いたのか、効かなかったのか分りませんw

もうYAMAHAの音ではなくなってしまいましたが、自己満足ということでヨシです。
選曲がスピーディーで気持ちいいですが、タイトルの入力が凄い面倒です。

タイマー機能も問題なく動作し、これから活躍しそうです。



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